「正直に、わかりやすく、安くて、便利に。」ライフネット生命の思いを届けるマーケティング戦略

  • クライアント名:ライフネット生命保険株式会社
  • 業種:保険業

ライフネット生命が繰り広げる、次世代保険の戦略マーケティング。若年層をターゲットにしたSNS施策やインフルエンサーとのコラボレーションで、ブランドの魅力を大きく引き上げました。次なるステップへ進むための新たな展望を紹介し、進化を続けるライフネット生命の挑戦に迫ります。

(聞き手:CARTA MARKETING FIRM 平野・中村 執筆:インターン  長谷川)

■ライフネット生命保険株式会社
マーケティング部 渡邊 様・マーケティング部 青木 様・ブランドマネジメント部 安藤 様

■株式会社CARTA MARKETING FIRM
IMC局/ディレクター 中村・第1営業局 /アカウントプランナー 平野

会社名:ライフネット生命保険株式会社様
事業概要:保険業
URL:https://www.lifenet-seimei.co.jp/

インターネットを駆使した新しい保険の形!ライフネット生命の魅力

改めて、御社の「事業内容」や「強み」についてお聞かせください。

渡邊さん:ライフネット生命では、インターネットを活用して生命保険をお届けしています。強みは、人件費や店舗費を抑えてお手頃な保険料を実現し、見積りから契約まで全てネット上で完結できることです。2008年の開業時、インターネットで申し込みができる保険会社は当社ともう一社しかありませんでした。今ではネット完結での申し込みは一般的ですが、その流れを牽引してきたのが当社だと自負しています。従来の保険契約は、見積りをもらうために電話をかけ、その後、自宅や喫茶店などで詳細な説明を受ける。さらにその後「じゃあ次回、見積りをお持ちしますね。」と再度見積りを受けるという手間がありました。当社は、チャットで気軽に相談できるサービスなども提供しているため、人に会って見積りや相談をする必要がありません。CMを見たその日に契約を結ぶお客さまもいます。社員数も約200人ほどと小規模な会社ですが、「ライフネット生命♪」というサウンドロゴでネームバリューにも恵まれ、多くの方に認知されています。

青木さん:保険商品数が少なく、シンプルでわかりやすい商品を提供し、選びやすさを実現していることも特長です。また、日本では公的医療保険に代表される公的な保障が充実していることから、「保険に入りすぎないでください」というメッセージを発信しており、必要な保障だけを提供するスタンスをとっています。シンプルな保障に絞り、お客さまにお支払いいただく保険料を抑えやすくしています。実際に世帯年収が300万円未満の家庭では、保険料が年収の約10%を占めている場合もあります((公財)生命保険文化センター 2024(令和6)年度 生命保険に関する 全国実態調査)。必要以上に保険料を払わず、その分を今の生活に必要な費用に充てることが大切だと考えています。
当社ではスマホで10秒で保険料の見積りができ、自分が支払える分の保険料に合わせて、必要な保障を調整することもできます。実際に、ライフネット生命で保険を見直して、「保険料が安くなった」と回答した方の平均削減額は1ヶ月8,329円で、1年間で約9万円相当の節約になる計算です※。無理に多くの保険を販売せず、誠実なサービスを提供することを大切にしています。

  • 2023年ライフネット生命での申込時アンケート結果(有効回答数172名)

新商品『定期医療保険「じぶんへの保険Z」』の成功を支えたLP制作

どのような経緯でサイト制作をすることになったのでしょうか?

青木さん:新しい医療保険『定期医療保険「じぶんへの保険Z」』の発売がきっかけでした。2024年秋に発売したこの保険のターゲットは「20代〜30代の若年層」です。ライフステージがこれから変化していく世代だからこそ、本当に一生涯の保障が必要なのか疑問に思う人や、もっと保険料を抑えたい人が多いのではという仮説があり、その仮説を踏まえたランディングページを新商品に合わせて制作したいと考えていました。

実施前の課題は何でしたか?

青木さん:新商品なので、まずは商品をどうユーザーに届けるか、ユーザー設計をしっかり考える必要がありました。私はプロモーション用のバナーも作成していたのですが、いかに統一感を持たせるかが課題でした。また、ユーザー設計をするにあたり、20代〜30代の保険検討者は市場規模も大きくなく、どういったジャーニーをたどるのか、本商品を起点とする他商品への申し込みの影響を予測できませんでした。

サイト制作のスケジュールはいかがでしたか?

青木さん:スケジュールは非常にタイトでしたね。私たちのチームで制作案を作成し、CARTA MARKETING FIRMの中村さんと協力しながら進行しました。ユーザーフローの設計も行う必要があり、短期間での進行となりましたが、中村さんには非常に助けられました。

サイト制作の具体的な進行について教えてください。

渡邊さん:保険業界では、守るべき法令があるため、サイト制作にもその影響がありました。特に、新しい商品を発売するにあたり、保険商品の適切な情報提供を行うためには非常に多くのフィードバックを受ける必要があります。テキストの修正が頻繁に行われ、最終的にどのような形に仕上げるかを中村さんと細かく調整しました。特に、PDCA(Plan-Do-Check‐Action)サイクルを意識し、レスポンスの速さを重視しました。

青木さん:事前に競合ミート(競合分析+差別化提案)を実施し、市場でのポジションや強みを確認した後、若年層向けデザインでタレント要素をどう活かすか、社内デザイナーと連携して進行しました。スケジュールが非常にタイトな中で、ヒアリング・ワイヤーフレーム作成・デザイン制作を一気に行いました。情報分析や提案の段階で中村さんから多くのアドバイスをいただき、最終的には、スケジュール内でうまく収めることができ安心しました。

渡邊さん:そうですね、保険商品にかかわるサイトは、お客さまに誤認を与えないように丁寧な確認や制作が必要で、納品まで時間がかかることが多いのですが、オリエンテーションから1ヶ月ほどでデザインを納品していただけたことは大きかったです。もちろん競合分析の資料やビジュアルのクオリティも高いものでした。保険特有の文書管理の複雑さを考えると、このスピードは画期的です。

新しい商品ということで、CMと連携したLPの制作はいかがでしたか?

渡邊さん:若年層向けにプロダクトマーケティングを確立することが求められていたため、CMとの連携は特に重要でした。それまで当社が主力としていたLPは、長年改善を続けて成果を出しているものの、新商品のCMとは連動性に乏しいものでした。今回はCMと合わせて、商品を通じて伝えたいメッセージを届けることに加えて、過去の効率の良いLPを超える必要があったんです。

青木さん:たしかに、CMとウェブの連携を強化したことが、最終的な成功につながりましたね!

実施によってどのような成果が得られましたか?

青木さん:特に、20代~30代向けの広告で、過去のLP(ランディングページ)よりも高い成果を上げ、狙い通りの層をしっかり取り込むことができました。CPA(顧客獲得単価)の面でも、定番の成果に勝るものとなり、大きな成果を上げられたと感じています。

渡邊さん:ターゲット層に合った商品提案ができるようになったことも大きな成果です。若年層にはこの商品が適している、一方で年齢層が高い方々には別の商品を提案するべきだという点が明確になりました。特に、訴求ポイントを強調する方法や、商品をストレートに伝える手法など、デザイン提案のプロセスにおいて非常に効果的な成果が得られました。

中村:提案が、ターゲットにマッチしていて、私としても非常に気持ちよく進められました。結果としても、提案がうまくはまり、最終的には素晴らしい成果を上げることができました。

ブランド再構築のカギ:ライフネット生命のSNSとインフルエンサー施策

インフルエンサー施策、SNS運用を実施することになった経緯を教えてください。

安藤さん:当社では、2023年度からの取り組みとして「Rebranding」を掲げ、ライフネット生命のブランドイメージの再構築にトライしてきた経緯があります。「SNSを通してお客さまとの関係値を深める」ことで、ライフネット生命が再び若年層に選ばれるブランドとなる、そのためにブランドの伝え方を見直そうというのがSNS施策に本腰を入れた背景です。もともと、CMやWeb広告などのプロモーションでは「10秒見積り」や「保険料の安さ」などの訴求を主にしてきたため、「保険料が安い保険会社なんだ」といったイメージはかなり浸透してきた実感がありました。一方で、ライフネット生命としてどのような考えを持っているのか、一体どんな保険会社なんだ、ということを伝えるコンテンツがなかなかお客さまに届いていなかったんです。

渡邊さん:当社は「子育て世代の保険料を半分にして、安心して子どもを生み育てられるような社会にしたい」という思いで開業した会社です。また、「生命保険の保険料は抑えていただき、その分、世の中にある優れた金融商品を自分で選択してお金を増やしていく」ことを推奨してきました。インターネットで保険を自分で選んで、自分で決めることは、人に言われるがままに入る保険とは違い、必要な保障を自分で絞ることができます。そしてその結果、保険料の負担を下げられます。だからこそ、保険会社であっても「保険ってそもそもいりますか?」「保険に入りすぎていませんか?」というようなメッセージを発信できてしまうのが当社の強みです。

安藤さん:開業時から変わってきた点としては、他の保険会社も似たような機能価値を持った商品を出したり、ネットで申し込めることをCMで訴求したりすることで、相対的に当社はどのような会社なのか差別化が難しい状態になってきたところです。自分たちの発信で、他社との違いを伝えても、なかなか届きにくいのが悩みでした。そこで、インフルエンサーの方にお力添えいただき、別の視点からの世界観でメッセージを伝えてもらうことにチャレンジしました。「保険に入りすぎていないか?」「保障が過剰になっていないか?」「保険選びを人任せにしていないか?」といった、ライフネット生命がこれまでにも伝えてきたメッセージを、それぞれの世界観で伝えていただきました。すぐに保険を申し込むつもりがない方も「こんなメッセージを発信している保険会社は他にはない」「保険を検討するならライフネット生命にしたいな」と思ってもらい、将来的に当社のお客さまやファンになっていただくことを目指しました。

具体的にどのような取り組みを行ったのでしょうか?

安藤さん:日頃から「節約」や「資産運用」などの情報発信を行っている方を中心に、8名のインフルエンサーの方にご協力いただきました。フォロワー数はそれぞれですが、子育て世代や若い方に届くよう、日頃の発信内容を拝見して依頼しています。フィード投稿やリール動画、YouTubeなど、みなさんが得意な方法で発信をしてもらうことから始めました。選定時は、オンライン面談などで企画の趣旨を説明するプロセスを経てご協力いただいています。保険という特性上、業法もありますし、NGとなる事項に触れないよう、修正をお願いする可能性があることなどをお伝えし、納得の上でお引き受けいただけるよう調整しました。

実施によってどのような成果が得られましたか?

安藤さん:実際に、インフルエンサーの方の投稿に対して「自分は保険に入りすぎていたかもしれない」とか「保険を見直したほうがいいかもしれない」など、保険を考え直すきっかけになったのだなと実感できるコメントも集まりました。また、一部の方は公的な保障制度をフックにして、ネット保険を検討することの良さを伝えてくださったのですが、投稿を保存してくれた人の数がPR案件としても非常に高いエンゲージメントを獲得することができました。

青木さん:そうですね、SNSの活用に悩んでいた当社にとって大きなヒントになりました。インフルエンサーのみなさんが、生活につながるテーマにのせて当社のメッセージを伝えてくれたことで、新しい共感の形があるのだな、と勉強させていただきました。

安藤さん:「保険、入りすぎていませんか?」という広いテーマで保険会社自身が発信するだけでは、とても届かないお客さまにリーチできたと思います。一方で、継続的にインフルエンサーの方との施策をどのように活かしていくかはまだ当社として検討の余地があると話しています。今回は、どのくらいの反応があるか仮説でしかない状態でチャレンジしましたが、単純に保存数やいいねの数を追うだけでは、継続的な施策は難しいのではと考えています。今後も、SNSは当社の考えを深く知っていただくための媒体として活用していくつもりです。生活者の目線で、日頃使っているSNSの特性に合わせたメッセージの伝え方が具体化できたときに、ライフネット生命のどういった側面を認知してもらえるのかを考えていきたいと思います。

CARTA MARKETING FIRM選定の決め手

CARTA MARKETING FIRMを選んだ決め手を教えてください。

渡邊さん:CARTA MARKETING FIRMは、分析力と提案力が高く、スピード感と費用のバランスも非常に良いため、ブランド力の強化とCV獲得の両立を実現するためのパートナーとして非常に相性が良いと感じました。

青木さん:決め手は、実績と信頼感でした。非常に高いクオリティの結果を出していて、その時にも良いと感じていましたし、分析力や提案力にも信頼をおいていました。さらに、レスポンスが重視される点が印象的でした。これは、私たちが求めていた要素とぴったり一致していたため、CARTA MARKETING FIRMにお願いしようと決めました。
また、ブランドと獲得のバランス感も非常に重要な要素でした。私たちはスピード感とコストパフォーマンスも重視しているので、そのあたりのバランスがうまく取れている点も決め手でした。実際に提案をいただいてからは、信頼感と安心感があり、スムーズに進めることができました。

今後の展望を教えてください。

渡邊さん:もっとSNS活用を強化したいです。テレビではなく、SNSから情報を収集している若年層へのアプローチ方法のひとつですね。また、当社では現在、リブランディングを推進しており、ブランド力の強化とともに、ダイレクト生保としてCV(コンバージョン)を獲得するという両立が求められています。特に「きれいなブランディングページ」と「ゴリゴリのCVページ」の中間をうまく作れるパートナーを探していたんです。これまで、テレビを中心にプロモーションしていましたが、今後はSNSやインフルエンサー施策など、様々なチャネルを活用し、ブランドと獲得のバランスを取っていきたいと考えています。SNSにおける認知から、実際の獲得に繋げるためには、ターゲットに響くメッセージを発信することが必要です。

青木さん:SNSやインフルエンサー施策を強化していく中で、SNSショート動画などを活用し、若年層などのターゲット層に新しい接点を作りたいと考えています。リブランディングにおいても、視覚的に魅力的でありながら、成果を上げるためのCV獲得を意識した施策が必要です。そのために、CARTA MARKETING FIRMとのパートナーシップは非常に重要です。今後も、テレビCMやOOH(屋外広告)、SNS、インフルエンサー施策などを通じて、ブランドと獲得を両立させるために協力していきたいです。